四日市市西浦にて夫婦で生花店「FlowerMarket花子さん」を営む古田理江さん。これまで無店舗営業の生花卸から大手スーパーへの出店、融合店、現在の路面店、さまざまな形で事業を続けていらっしゃいました。また、2000年代後半のマルシェ草創期から出店、運営と幅広く活動。
今回はコロナ禍で売上アップにつながった秘策から、マルシェと地域のつながり、今後の展望についてお話を伺いました。前編では、コロナ禍を乗り越えた「FlowerMarket花子さん」の秘策、開業してからこれまでの歩みについてまとめています。
コロナに負けず売上アップ!~きっかけはドライフラワーとSNS活用~
―昨年のGW期、コロナウイルスが猛威を振るう中で前年比2倍以上の売上を達成したと伺いました。
そうなんです!ドライフラワーがよかったよね。コロナの影響が出始める前からドライフラワーに注目していて。InstagramやFacebookを活用したところ、コロナ以前の実店舗とはまた違ったユーザー層からご注文をいただくようになりました。
実際にドライフラワーへ大きくシフトしたのは昨年の「母の日」以降。コロナの影響で業績が悪化した中小企業・小規模企業に対し「三重県経営向上支援新型コロナ危機対応補助金」が創設されたので申請したんです。1回目は落ちましたが2回目で申請が通り、その補助金で店内にドライフラワーの売り場を作りました。
実際に補助金が通らなかったらこれほど本格的に切り替えていなかったかもしれません。けれど実際にやり始めたら、思いの外ドライフラワー人気が高かったことに気づきました。それまでは店の片隅に置く程度でしたが、思い切って生花売り場とドライフラワー売り場のウエイトを変えて。今では店の売上全体の約5割近くをドライフラワーが占めています。
ードライフラワー人気、すごい!
ドライフラワーを始めたら、それまでになかった新しいお客様、例えば写真スタジオやエステサロンの方から、ドライフラワーで売り場を作ってほしいとご依頼いただくようにもなりました。
そんなお話を何件かいただき、これまでとは異なる新たなご縁がどんどん広がっています。だから、「コロナのせいで」「それまでのお得意先が休業しているから」売上が落ちたという感覚はないんです。
開業からこれまでを振り返って~生花卸から店舗運営まで~
―生花店を始めた経緯を教えてください。
開業は1994年、無店舗営業からスタートしました。当時は食品スーパーの生花売り場に卸したり、ケーキ屋さんにミニブーケなどを置かせてもらったりしていたんです。
元々生花店で働いていた夫が独立し、その後アパレルの営業職で産休・育休中だった私も合流。在職中にフラワーアレンジの資格を取っていたので、生花業で活かせる資格はありました。
実は会社を立ち上げた年の12月、クリスマス前後に大雪が降って。その頃正月用の花をたくさん購入してあったのですが、トラックに入れっぱなしにしておいたので全部凍ってしまいました。それもあって、初年度は500万円くらいの赤字スタートだったんですよ。
開業して2年半後、大手スーパーに出店。無店舗営業のほうでも複数声をかけていただいて、四日市市や桑名市を中心に多い時で約30店舗に生花を卸していました。一つの拠点で物流もすべて自前、当時は20~30人のスタッフとともに頑張っていました。
―スーパーで生花を売るにあたって、何か戦略はありましたか?
土地柄、お正月やお盆の仏花、墓花はものすごくよく売れました。戦略というなら、母の日は絶対に前年度の売上をクリアするよう目指し、出店期間中すべての年で達成しました。
中でも特によく売れたのが、数種類のカーネーションの苗ポットを入れたミックスバスケット。大手スーパーの近隣は畑が多くて庭も広く、地植えできるご家庭が多かったんです。近隣に住む方々に喜ばれるものは何なのかを考えながら商品をラインナップしていました。
―13年間スーパーに出店したのち、現在の四日市市西浦に移転されました。
生花店をやっていた方から、現在の場所を引き継がないかと話をいただいたんです。1年ほどスーパーと並行しながら営業したのち、スーパーは退店しました。現在の店舗に移ってからは10年以上になりますね。
大手スーパーは365日営業です。売れるときはたくさん売れますが、売れない日でも必ず店舗に誰かがいなければいけない。365日営業は諸刃の剣でもありました。現在の店舗に移ってからは数名のスタッフがいましたが、結婚・出産・店を出すなどで卒業。現在は夫婦2人で運営しています。
…………後編へ続く。
(取材・構成) 杉本友美(ライティングファーム紡)
桑名市出身&在住。バックオフィスでの社会人経験ののち、ライターに転身。
働き方関連や三重などを中心としたライティングに携わる。
HP:https://www.wf-t.jp/ Instagram:@writingfirm.tsumugi