発達障がいに悩む・関心を持つ方々が集う場づくりに力を注ぐ、「カフェGladAtion」の田中えつこさん。2020年11月22日にオープンした「チャレンジショップ四日市Wiz:inCasa」より、新たなる船出を果たしました。

今回は、チャレンジショップ出店までの流れや今後の展望についてお伺いします。

チャレンジショップで「カフェGladAtion」を出店!

~多くの人からの励ましの声が嬉しくて~

発達障がいの当事者として、同じ悩みを抱える人が気軽に集まれる場を作りたい。そんな思いが現実となり、チャレンジショップで出店する運びとなりました。

えつこさんー

昨年12月15日にプレオープンし、多くのお客様にお越しいただきました。毎月の営業スケジュールカレンダーやメニュー情報をInstagramやFacebookなどに投稿し、こまめに情報発信しています。

―ランチやデザートも美味しくかわいい盛り付け!私は「チョコタルト」をいただきましたが、濃厚なチョコの風味がギュッと詰まって本格的な味わい。―

えつこさんー

高校時代の友人が、私が作ったブラウニーを「すごくおいしい!」と褒めてくれたことがあって。それを思い出してメニュー化してみたんです。

―仕込みにもすごく時間がかかっていそう!お子さん二人の子育ても並行しながらですよね。―

えつこさんー

やっぱり一番時間がかかるのが仕込み。けれど家族から子育てをサポートしてもらいつつ、日々チャレンジの連続です!

チャレンジショップ出店に至るまで~短期集中、怒涛の日々!~

―田中さんの出店が決まったのは、オープン約1か月弱前というタイミングだったとお聞きしました。―

えつこさんー

出店が決まったのは昨年10月下旬ころです!そこから多くの人のサポートやアドバイスをいただきながら、あれよあれよという間にオープン初日を迎えていました笑。

―そして11月のオープンから実際のカフェプレオープンまで約3週間強。どんな風に計画を立てていたんですか?―

えつこさんー

まずは1か月の売上金額を試算しました。今回はテストマーケティングだということ、今回をステップに次を考えるなら売上も大切だということなど、いろんなアドバイスをいただきながら自分のなかで目標設定して。あと、原価率の設定もしました。実際にオープンすることをイメージしながら。

―実際の店舗運営を想定しながら数値目標を設定。テストマーケティングもできるのはチャレンジショップならではですね。―

えつこさんー

自分でお店を持つなら、店舗の賃貸契約や保険加入、キッチン回りや内装などなど、お金もかかるしそれだけ負担も大きくのしかかる。その点でも、まずチャレンジショップでやらせてもらえたことで実際に体験でき、いろんな発見がありました。

チャレンジショップでの学び~広がる未来の可能性~

―チャレンジショップに出店してみて、一番苦労したのはどんなことでしたか?―

えつこさんー

苦労という、とにかく「時間がない!」ということ。まず仕込みにかなりの時間がかかるから、情報発信する時間もつくれない。

―すべて一人でやってみたことで、時間配分というか、時間の使い方を考える必要性を感じたんですね。―

えつこさんー

仕込みは慣れもあるでしょうが、時間調整を工夫しながら、情報発信にも時間を回したいですね。

―確かに、外部の方に活動を知っていただくには情報発信が不可欠ですね。他にはどんなことが?―

えつこさんー

あとは数値設定のことですが、理想通りにはうまくいかなくて。この点についてはもう少しマーケティングの勉強に力を入れようと思いました。

私の場合、「自分の売りたいもの」に注力していたかな。もっと「世の中のニーズにマッチしたもの」「商品に付加価値をつけること」に目を向けていけたら、と。

―今後に向けてより具体的な視点が見つかったんですね!では、喜びややりがいを感じたのはどんなこと?―

えつこさんー

それはもう、本当にたくさん応援してくれる人がいると実感できたことです。友人・知人をはじめ、たくさんの人がカフェに来てくださって。「がんばってね」とか、応援の声をいただけるのは本当にうれしいですね!

―やりがいに直結するし、大きな励みになりますね。―

えつこさんー

そして、「発達障がい」カフェということで、何となくこれまで話しにくかったことを話してくれる人もいて。私はまず「人の話を聞きたい」という思いがあり、そこを発端に「カフェ運営」へ至った経緯があります。発達障がいに悩むママが気軽に集まれる、話せる場所を作りたい。それがチャレンジショップで少しずつ形になりつつあるのは、私にとって大きな前進です。

チャレンジショップ出店から現在地~今後の展望~

―チャレンジショップに出店してみることで、それまで見えていなかったことが明るみになり、また喜びややりがいも芽生えたとのこと。今後の展望は?―

えつこさんー

12月のプレオープンから1月にかけて、カフェに関しては自分が考えていたことが試せたな、やれたな、という状況。けれどカフェの運営に力を注ぐあまり、「発達障がい」に関することがほぼできていません。なので、今後はワークショップやコラボ企画など、「発達障がい」に目を向けてアクションを起こしていこうと考えています。

―まずはカフェの運営が少しずつ形になって…。今後やってみたいことがまだまだたくさん出てきそうですね!―

えつこさんー

私がやりたいことは「カフェ」の運営ではなく、発達障がいの当事者やその家族を持つ人たちが集まれる場づくりです。そこに向けて、自分のなかで「トライ&エラー」を続けてみます。

終わりに

チャレンジショップを使ってカフェをオープンし、テストマーケティングを重ねながら「自分がやりたいこと」を具現化していくえつこさん。自分のスキルを棚卸して見つけた「強み」や「経験」、当事者としての「実体験」を組み合わせた新しい事業が生まれました。

「カフェGladAtion」は試行錯誤を繰り返しつつ、飛躍的な成長を遂げています。これからどんな風に形を変え、彩られていくのか。今後が楽しみです。

(取材・構成) 杉本友美(ライティングファーム紡)
桑名市出身&在住。バックオフィスでの社会人経験ののち、産休・育休を経てライター業をスタート。
働き方関連や三重などを中心としたライティングに携わる。
HP:https://www.wf-t.jp/  Instagram:@writingfirm.tsumugi