カキ氷を愛する「ゴーラー」たちが月ごとに変わる味を買い求め、チャレンジショップに列をなしたのは2021年夏のこと。「マルモ食堂カキ氷」は7月~10月初旬の月曜日限定で出店し、大盛況のうちに幕を下ろしました。
今回は、出店終了から少し時間を置き、落ち着きを取り戻した森田知世さんにお話を伺います。
チャレンジショップ出店の理由とは?
―元々はマルモ食堂で、夏季限定のカキ氷店を出していたそうですね!
マルモ食堂は夫の実家なのですが、週末の休業日をお借りして2019年から夏季限定(6月中~10月中旬)、週末限定でカキ氷店をはじめたんです。
今年で3年目になりますが、おかげさまで行列ができるくらいお客様にお越しいただくようになりました。
―チャレンジショップで出店してみようと思った理由は?
一番の理由は、今後の平日営業を検討する中で、平日ならどれくらい利用していただけるのか、リサーチしたかったからです。
あと、マルモ食堂は四日市市天カ須賀にありますが、チャレンジショップは日永、四日市市中心部に近い立地にあります。まだまだマルモ食堂のカキ氷を知らないお客様に対して認知度を高めたかったことも理由の一つです。
―そうなんですね!実際にはどれくらいのお客様が?
今年は、週末日曜はマルモ食堂で予約制、月曜はチャレンジショップでシロップがなくなり次第終了という形で出店させていただきました。チャレンジショップでは平均して1日55~60杯くらい。月曜が祝日になった日には1日90杯ほどにもなりました。
私一人で氷削りから提供、会計も対応していたので、平日でも10時半~14時くらいまでは終始削りっぱなしに近い状態でした!オープン前の10時半ごろから来てくださる方や、15時過ぎの仕事終わりに来てくださる方、いろんなお客様にお越しいただきました。
チャレンジショップに出店して…リピーターが増えた!
―実際に出店してみてよかったことは?
チャレンジショップだけの新しいリピーターさんができたのは本当に嬉しかったです!
あとは、お客様のリアクションがリアルにわかることです。マルモ食堂では、私はひたすら氷を削ってカキ氷を仕上げる担当で、会計などは手伝ってもらっていました。なので、営業時間内も店頭には立っていなかったんです。
チャレンジショップでは、実際に行列を見ながらお客様と接し、カキ氷を提供して食後の片付けもする。すべての作業が、今後のためのリサーチ、やりがい、励みに繋がりました。
―お客様の様子が直接わかるのは嬉しいですね!逆に改善したほうがいいと感じたことは?
一人で対応するのも善し悪しで、トラブル対応など柔軟な対応は難しいなと感じました。
お客様を待たせないよう提供時間の短縮化を図ったり、必要時には協力してもらえるスタッフにお願いしたり、やるべきことがいろいろ見つかりました。
あと、instagramの発信も積極的に取り組もうと思いました。諸事情で月曜でもお休みさせていただく日があって、実際の営業日がわかりづらい。多くの方々にわかるような告知方法を検討したいと考えています。
地場の食材を使ったオリジナルのシロップ。かき氷店に目をつけた理由は?
―かき氷のシロップは森田さんのオリジナルなんですね。
季節の野菜や果物をメインに、毎月メニューを変更しつつ提供していました。
例えばほうじ茶、ブルーベリー、ぶどう、いちじく、梨など、四日市産のものを使用。他にも桃、メロン、和栗、さつまいも、枝豆、すもも、トウモロコシなど、さまざまな食材を使用しました。
うちのカキ氷の値段は平均すると1,000円前後、高いものだと1,400円くらい。決して安くはありませんが、トウモロコシなど意外なメニューも大人気なんですよ。
―ちなみに、数ある飲食店のなかでも「カキ氷」に目をつけた理由は?
元々食べることがすごく好きなんです。そして食に対してすごく興味があるのだと思います。
私は以前、名古屋にある店舗デザイン事務所で働いていました。
今は四日市市在住で名古屋に行く機会が減り、四日市で何か面白い場所はないか探していたんです。いろいろリサーチする中で「かき氷店がないな」と思って。
今はフリーランスで建築デザインの仕事もさせていただいているのですが、「自分ならこんなお店を…」と、チャンスがあればやってみたいと思っていました。
そして、何より最近のカキ氷ってすごくおいしいんです。私もびっくりしました。
四日市でこんなカキ氷が食べられたら…という思いが強かったですね。
―確かに、近隣にカキ氷店ってないですね!
そこで運よく主人の実家が飲食店。さらに私の実家も飲食店で、小さい頃から料理には興味がありました。
専門的な知識はないけれど、カキ氷だけなら、まずシロップを作って、夏季限定で始めてみることはできるんじゃないかと思ったんです。
実は2018年の夏、花火大会の日に1日限定で屋台のカキ氷店にチャレンジしてみましたが、なかなか上手くいかなくて…。
その失敗を踏まえて、奈良や岐阜、東京など、有名なカキ氷店を食べ歩いて研究しました。書籍も参考にしながらシロップづくりの研究を重ねて、2019年夏にマルモ食堂で初めて出店したんです。
実際にカキ氷をつくり始めて気がつきましたが、カキ氷の奥深さを日々痛感しています。メニューづくりは本当に失敗の連続です。
マルモ食堂かき氷、来年以降の展望は?
―今夏の営業は無事終了しました。来年の展望は?
来年は今のような週末のみで営業する予定です。けれど、建築の仕事もしつつ、もっと飲食業をやりたい気持ちもあって。
私が思う、「こういう風に作ったらお客さんのテンションが上がるよな…」というお店、自分が行ってみたいお店を自分でつくってみたいんです。
将来的には、かき氷プラス何か…で常時営業できる店舗をつくりたいですね。
―それは面白そう!ご家族は何と?
夫は良き相談相手です。仕事でモヤモヤすると、いろんなことを相談します。
私とは違ったもののみかたをする人なので、考えるヒントになったり、気づかせてもらったり。一つの意見として参考にしています。
仕事自体には反対されるわけでなく、私の相談にも「やったらいいんじゃない?」というスタイルですが、日常生活においても、とても助けてもらっています。オンオフつけながらパラレルキャリアを続けていきたいですね。
終わりに
建築デザインと飲食店、全く異なる分野で活動を続ける森田さん。個人的には、斬新なアレンジを加えられたご自宅のキッチンがおしゃれ過ぎて、感動しました。
素材感や質感、見せ方を大切にされている森田さんがつくるお店。どんなお店になるのか、私も今から楽しみにしています!
(取材・構成) 杉本友美(ライティングファーム紡)
桑名市出身&在住。バックオフィスでの社会人経験ののち、ライターに転身。
働き方関連や三重などを中心としたライティングに携わる。
HP:https://www.wf-t.jp/ Instagram:@writingfirm.tsumug