「今、ようやく等身大の自分になった。そんな気がします」

伊賀市出身であり、現在は東京でパーソナルスタイリストとして活躍するA-Personal Stylingの西畑敦子さん。約10年働いた外資系IT企業でのセールスエンジニア職から転身。ファッションレスキューでパーソナルスタイリストとして勤務ののち、2020年11月に独立されました。

そんな西畑さんに、これまでの歩みから「装い」への想い、今後の展望についてお伺いしました。後編では、wiz:での女性起業家との出会いやこれからの展望など、じっくりと…。

wiz:で女性起業家との出会い、気づき…。

―西畑さんは普段から女性起業家とコラボする…ということはありますか?

私の場合はパーソナルスタイリングが主な仕事なので、お客様で講師業の方の生徒さんに対して装い講座を開いたり、ヘアメイクさんやカメラマンさんとお仕事をご一緒したりすることはあります。

―wiz:で三重の女性起業家とつながって。新たな発見などありますか?

地元は伊賀ですが、wiz:はもっと幅広い三重県の方々がいらっしゃるので、それほど「地元!」という意識はないんです(笑)。私の故郷の定義が「伊賀」から「三重」になった感覚です。

私の場合、これまで女性起業家の方と知り合う場がそれほどなかったので。いろんなジャンルの人がいるな、と感じます。お客様で起業家の方はいらっしゃいましたが、肩を並べて話す…ということはwiz:のメンバーになってからですね。

いろんなジャンルでそれぞれ頑張っていらっしゃる女性の話を聞けるのは楽しいですし、刺激になります!


―地方の経済が回るには、女性の起業って必要だと感じますか?

そうですね。地方の活性化にも繋がると思います。現在は会社員で副業していらっしゃる方もいますし、コロナ禍の影響も含め、いろいろな働き方があるなと感じています。ただ、活性化とか認められるとか、新しい価値として根付くには世の中のルールを変えなくてはいけないとも思います。

世の中にはいろいろな考え方があると思いますが、女性起業家ではない働き方、例えば会社に勤めてお金を稼ぐことがいいという価値観が大前提の場合、女性起業家の働き方は成り立たなくなりますし。例えば地方よりも首都圏で働くほうがいいというのも、それら価値観に基づくものでしょうし。

今後、「女性の起業」が新しい働き方として地域を活性化して…となっていくには、その価値観・ルールから変わっていかなくてはいけません。そのためには、その数多くの女性起業家たちが活躍したり認められていったりすることも重要になってきます。

―確かにこれまでの大前提、根強い既存の価値観がありますね。

例えば「地方で女性が活躍しています」という場合の「活躍」の定義が何なのか、というのもルールの一つで。そしてその活躍が認められるのと同時に、既存の価値観に則った結果も出すことが大切ですし。

どのように新しい価値観や定義づけをして、まわりに認めてもらうかというのはすごく大きなチャレンジだと思います。そのためには1人でできないこともありますし、やるべきこともいろいろあることを知る。起業家って人それぞれにカラーがあって、いろんな人がいることを知る意味でも、起業家とのつながりは大事だなと実感しています。

今後は…等身大で勝負していく!

―コロナ禍によって働き方も変わりましたか?

やはりオンラインが浸透したのは大きいですね。オンラインならば、三重県に住むwiz:メンバーと気軽につながることができますし、県外の方とコミュニケーションが取れます。対面以外でもやりとりできて、どんなふうに思っているのかを聞けたり話せたりするのはすごく大きな価値があります。

仕事自体については、ショッピング同行やご自宅訪問なども徐々に以前のように戻りつつありますね。ただ、洋服を買う前のヒアリングはオンラインを使うことも多いです。夜の時間帯でも柔軟にやりとりできますので、仕事後やお子様がいらっしゃる場合など、うまく使い分けながら対応しています。

―今後はパーソナルスタイリストとしてどんな展開を考えていますか?

私が独立した背景には、会社のカラーではなく自分で勝負して、今までに知らなかったお客様にもっとリーチしたい、届けていきたいという想いがありました。今ようやく、背伸びした自分が等身大ではなく、背伸びしていない自分が等身大になってきたように感じています。


「自分で勝負するしかない」という、ある種の開き直り(笑)。開き直りがイコール等身大というか、背伸びしていない、あるがままの自分というか。

やはり、コロナ禍によってすごくいろいろ考えさせられました。提案する方法も、状況に応じて変わっていかなければいけない部分もありますし。また、求められるものに応えるのも大事ですが、例えばみんなが欲しいというものだけになってしまったら、ファストファッションばかりになってしまうとか。

もし、その結果が「絶対いい!」とは思っていなくても、結局は消去法で妥協して、そうなってしまったのなら…。本当に価値あるものを知らないだけで、みんながいいと思うものを欲しいと言っているのなら…。

私はできるなら「こんなのがあるよ」「本当にそれでいいんですか?」と伝えていきたい。ニーズに応えるというよりかは、「本当にその人にとっていいものを」「世の中にとっていいと思うものを」。そういうところにフォーカスしていきたいと考えています。

―相手のニーズだけではなく、西畑さん目線でのスタイリングを。

起業塾やマーケティングなどでは、「自分の伝えたいこと」よりも「お客様の欲しいもの」を、と言われることが多いかもしれません。実際はそうなんだと思います。ニーズに届くような伝え方をしないといけないでしょうし。

でも、それに応えるだけではなくて、知らないだけでもったいないこととか、本当の声を伝えていきたくて。自分が常に本気で何かやっていくことで、そんな人たちと出会えるだろうし、出会っていきたいと思っています。事の大小やパブリックプライベート関係なく、本気の人たちと仕事をしていきたい、そう考えています。

(取材・構成) 杉本友美(ライティングファーム紡)
桑名市出身&在住。バックオフィスでの社会人経験ののち、ライターに転身。
働き方関連や三重などを中心としたライティングに携わる。
HP:https://www.wf-t.jp/  Instagram:@writingfirm.tsumugi